四半世紀の恋心の成仏
四半世紀の恋心の成仏
別れた元夫を見かけた
女の人と手を繋いで歩いていた
しあわせそうに
そっか
よかったね
もう離婚から三年弱
これは
私が望んだことだ
すごく好きな人に
ちゃんとしあわせになってほしい
そう思った
だから
離婚した
愛されていない
それが
痛いくらいにわかっていた
もう
好きじゃないんだな
すごく好きだから
すごく好きなのに
愛されていない
それがわかって
一緒にいることが
苦痛だった
きっとわかってもらえない
だから
もう好きじゃないから別れて
と頼んだ
ちゃんと好きな人と
しあわせになってくれればいい
そう願った
そっか
よかったね
そう思う気持ちと共に
動揺もあった
でももう私たちは
他人だ
なにも言う権利はない
あいつ離婚の時
復縁出来るように努力するから
とか言ってなかったっけ!?
死ねばいーのに
とも思った
でも
これで良かったのだ
前回の今世では
離婚しない
を選んで
自殺して死んだ
残された全ての人間が心に傷を負った
どうせ死ぬなら
最悪の結末でも同じだ
勇気を振り絞って
離婚を選択した
しあわせになる勇気を
今しあわせかって聞かれたら
困る
結局しあわせになれていない
それでも
タフにはなれたし
なんとか生きている
もしこの先
自殺して死んだとしても
一人でも
この選択でしあわせになれた人間がいるなら
これは
大きな成功だ
この離婚に意味はあったんだ
ようやく
四半世紀の恋心が
成仏出来る
そんな風に思えた
これはきっと
前進だ
すこしだけ
うらやましい
自分から手を繋ぐのをやめて
10年以上
彼の方から手を繋いでくれる日を待った
結局
離婚まで一度も
彼の方から手を繋いでくれることはなかった
手を繋ぎたい
そう思われる相手でありたかった
私には何が足らなかったんだろう
足らなかったんじゃない
これは
ただの
相性の問題だ
私は
私で
他の人にはない
唯一無二の
魅力がある
きっと
誰にでもある
それでも
誰からも愛されなくても
誰からも必要とされなくても
なんの役にも立たなくても
生きていていいよ
生きていて
いいよ